伊藤 竜哉(いとう りゅうや)
InnovationPlace株式会社代表取締役社長。新卒でbravesoft株式会社に入社。在籍中に、アプリプロモーションサービス「AppRoom」を開発。その後、InnovationPlace株式会社を立ち上げ、独立。現在は「Apppla」「RESUME」を加えた3サービスを展開する。
中学時代から起業を志す
現在のお仕事内容について教えてください。
InnovationPlace株式会社の代表として、「AppRoom」「Apppla(アプラ)」「RESUME(レジュメ)」3つのサービス運営しています。それぞれ簡単に説明すると...
AppRoom:個人開発者やスタートアップのアプリをより多くの人に発信するアプリプロモーションサービスです。開発したアプリを無料で掲載することができます。
Apppla:話題になったWebサービス・アプリが見つかるメディアです。キュレーターが選んだWebサービス・アプリ情報を毎日、メールで受け取ることができます。幅広いカテゴリーのサービスをピックアップしています。
RESUME:誰でも直感的に使えるWebポートフォリオ作成サービスです。自分の制作物や仕事のストーリーを、美しいデザインでまとめることができます。
伊藤さんは新卒でアプリ開発会社に入社された後に起業されていますよね。起業に至ったきっかけについて教えてください。
中学生のときにドラマ『リッチマン、プアウーマン』を見たことが起業を志したきっかけです。小栗旬演じる主人公である若きITベンチャー経営者の成長や、石原さとみ演じる東大生ヒロインとのラブストーリーを描いたドラマです。ITベンチャーならではの紆余曲折がありながらも、会社を成長させる主人公の姿を見て「これだ!」と。起業して活躍する自身の将来像を想像すると、胸が高鳴りました。
高校では、スティーブ・ウォズニアック(※ スティーブ・ジョブズと共にアップルを創業したエンジニア)やマーク・ザッカーバーグに憧れ「将来は会社を作る」と周りにも公言するように。小さい頃からパソコンに触れるのが好きだったこともあり、ITベンチャーに不可欠なプログラミングを学ぼうと情報系の専門学校に進学しました。その頃には、自分でサービスを立ち上げて起業する未来を明確に描いていました。
学生起業をしようとして準備するうちに、優れたサービスを生み出すためには、技術力だけではなく方法論や経験が必要だということがわかりました。そこで専門学校卒業後、起業に向けたファーストステップとして、裁量権を持って働けてITエンジニアとして成長できるアプリ開発会社に入社することにしました。
会社に嘘をつきながら働くのは嫌だったので、採用面接では「将来は起業する」と宣言していました。言葉にすることで責任感を強く持てましたし、自分にプレッシャーをかけられたので、サービスの開発という目標に向けてギアを一段階上げることができました。
そして、満を持してリリースしたのが「AppRoom」です。宣言通り退職し、InnovationPlace株式会社を創業して今に至ります。
中学生の頃から起業を志していたなんて驚きです。どんな思いからAppRoomを開発したんでしょうか?
クリエイターやエンジニアを支援したいという思いがあったからです。
以前から、エンジニアの制作物を広く認知させられる場所がないということに問題意識を持っていました。Apple StoreやGoogle Playのランキング上位には、多額の広告費を投下したアプリが占めていて、個人のアプリがユーザーに認知されるのはとてつもなく難しい。そんな現状を打破したいと思い、AppRoomを作りました。
リリースはしたものの、当初のユーザー集めはまさに地獄でした。とにかくサービスを出すことを優先してしまったため、リリースしてから3週間ほど、サイトに掲載されているのは自社アプリだけという滑稽な状態が続きました。
「これはいけない」と、無我夢中でユーザー集めを始めることに。毎日Twitterを4時間以上開き、エンジニアのアカウントを見つけては1件ずつメッセージを泥臭く送り続けました。「サービスを作ったからには、多くの人に使ってほしい。やるしかない」と自分を奮い立たせました。
そんな地道な活動が功を奏し、しばらくすると徐々にユーザーが増えてきたんです。ユーザー数に比例するように、AppRoomに対する僕自身の愛着も深まっていくのを感じましたね。
とにかくサービスを作ってみよう!
サービスを通じて伊藤さんが実現したいことについて教えてください。
弊社は、「個人が活躍する未来を創る」というビジョンを掲げています。弊社のサービスに登録してもらうことで、個人のエンジニアが思いを込めて開発したアプリのプロモーションを支援し、知名度向上や収益化を後押しするきっかけになりたいです。
エンジニアにとって、自分で作ったアプリが多くのユーザーに使われることはこれ以上ない喜びです。アプリの知名度が上がり、ユーザー数が増え、少しずつ収益化できるようになれば、エンジニアはより一層サービスの開発や改善に注力できるようになり、さらにユーザーが増える、という好循環を生み出せると思うんです。
AppRoomの理想像は、個人のエンジニアが開発したアプリを真っ先に登録する、ジャンプ台のようなサイトにすることです。ここに登録したことで多くのヒットアプリが生まれ、さらに多くの新しいアプリが登録されるように、サービスを育てていきたいです。
そのために、今後はアプリの開発者向けイベントを開催する予定です。AppRoom登録者の交流イベントを開き、それぞれの思いを共有することで化学反応が起きるのを期待しています。
2~3年以内にはイベント会社と連携し、AppRoomのアプリアワードを開催したいです。このサービス内で人気が出たアプリとその開発者を表彰し、業界を盛り上げたいです。こうした取り組みの結果、エンジニアを志す人が増えれば何よりです。
最後に、未経験からエンジニアを目指す上でのアドバイスをお願いします!
まずは何かサービスを作ってみてほしいです。
エンジニアの本質は、自分で何かを作れることだと思うんです。誰にどんな価値を届けたいのかを考え、バグが出たら直し、ユーザー数の増減の原因を考察し、フィードバックをもらいながら改善する。サービスを作れば、そんな一連の流れを体感できます。それは、指示された開発だけをやっていては味わえないものです。「自分にはまだ力がないから…」「技術力が低いから…」と構えることなく、挑戦してみてほしいと思います。