石川 哲也(いしかわ てつや)


国際基督教大学を卒業後、新卒でトーマツイノベーション株式会社にて人材育成・組織開発の営業・コンサルティングに従事。2016年より白潟総合研究所の創業メンバーとしてジョイン。現在ナンバー2として、新規事業開発・子会社経営・採用室長を行う。また、現役のコンサルタントとして顧問先へのコンサルティングも担当。


サッカーコーチの原体験から、コンサルタントへ

現在のお仕事内容について教えてください。


「中小・ベンチャー企業の社長を元気にする!」という存在意義を追求する総合型コンサルティングファームである白潟総合研究所のナンバー2を務めています。白潟総研の経営者の一人として、新規コンサルティングサービスの構築や組織づくり、採用など、経営全般を担う役割です。


また、白潟総研の子会社であるソーシャルリクルーティング株式会社の社長、リファラルリクルーティング株式会社の副社長として、採用関連のコンサルティング事業を統括しています。経営を行うかたわら、現役のコンサルタントでもあるので、私自身も20数社のクライアント企業のコンサルティングを行っています。


石川さんは、新卒から一貫して経営コンサルティングに携わっていらっしゃいますね。コンサルタントになろうと決めた背景を伺えますか?


最初にコンサルタントになりたいと思ったのは、大学時代に付属高校サッカー部のコーチを務めた経験がきっかけです。チームのメンバーがサッカーを通じて成長していく、勝てるようになっていくのをサポートするのがすごく楽しくて。プロのサッカーコーチを目指そうかと思ったこともありました。


しかし、あるときふと思ったんです。「俺、そんなにサッカー好きなんだっけ?」と。自分が面白さを感じているのは、サッカーそのものというよりも、みんなの目標達成を支援するプロセスなんじゃないかと、そのとき気付きました。それならば、サッカーコーチ以外にも多くの手段があるはずです。いろいろ考えた末、コンサルタントという選択肢に思い至りました。


とは言え、なかなか馴染みのないコンサルティングという仕事。もっとイメージを深めようと思い、100人にOB訪問を行いました。その活動を通じて「大企業よりも中小企業向けのコンサルティングのほうがやりたいことに近いのではないか」という新たな気付きを得ることができました。後者のほうがクライアントにより入り込むような形で、近い距離感で支援できる。それはまさに、思い描いていたサッカーコーチのイメージと重なるんじゃないかと思ったんです。


中小企業向けのコンサルティングファームの中でも、トーマツイノベーションを選んだのは、当時の同社の代表で、現在は弊社CEOの白潟に惚れ込んだためです。初めて白潟のプレゼンを聞いた会社説明会で、難しいことをわかりやすく伝える手法に心を奪われたのを今でも覚えています。30冊ほどある白潟の著書をすべて読みこみ、白潟と1対1の最終面接に臨みました。

白潟さんとはそのときからのご縁だったんですね。トーマツイノベーションに入社後、白潟総研にジョインされた経緯を教えてください。


白潟が後任にトーマツイノベーションの経営を譲り、白潟総研を立ち上げてから1年半ほどたったとき、白潟本人から声をかけてもらったことがきっかけです。入社してから5年目のときでした。


尊敬する白潟に声をかけられて、嬉しくないはずがありません。「すぐにでも行きたい」という気持ちでいっぱいでしたが、一方でそうかんたんにYESと言えない事情がありました。実はそのとき私は結婚を控えていたんです。これから家庭を持つことを考えたときに、待遇のいいトーマツイノベーションを去って本当にいいのか。それだけが唯一にして最大の懸念でした。


そんな重たい心境を、とうとう結婚前の妻に打ち明けることに。すると開口一番「行ったらええやん!」と。そのあまりにもあっさりした一言に勇気づけられ、転職を決意し、今に至ります。

本物のコンサルティングへのこだわり

石川さんがコンサルタントとして大切にされていることは何でしょうか。


本物のコンサルティングを提供することにこだわっています。


経営の全体像を捉えず、採用だけ、業務改善だけなど、パーツを切り出すかのようなコンサルティングは本質的ではありません。経営は本来、さまざまな要素が有機的に絡み合っているもので、局所だけを見て、自社の強みとするパッケージを押し付けるようでは効果がないと思うんです。それはあたかも、「お腹が痛い」と患者が言ったら、問答無用で盲腸を切るようなものではないかなと。


だからこそ弊社は、白潟総研という総合コンサルティングファームに、個別機能に特化したコンサルティング子会社が紐づく形をとっています。経営全体を見た上で、各社に必要な個別のコンサルティングを柔軟に提供できるように。言わば、中小企業にとってのホームドクターのような存在でありたいと思っています。

最後に、今後取り組みたいことについて教えてください。


コンサルティングという職能自体にひとつのイノベーションを起こしたいと思っています。


私の個人的な捉え方ですが、コンサルティングという職能は、



  • 相談を受けて解決策を提示する「コンサルティング1.0」

  • 相談を聞いて、一緒に実行して成果を出す「2.0」

  • コンサルティングを依頼したつもりがなくても結果的にコンサルティングになっている「3.0」


そんな進化を遂げてきたと思っています。


こうしたこれまでのコンサルティングには、ひとつ問題があると考えています。それは、実際に課題を解決している姿を見せられないこと。


コンサルタントは、クライアント企業の課題を指摘することはできても「こういう風に解決できますよ」という姿を見せることはありません。でも、それを見せるだけで、クライアントが自力で解決できるのなら、本当はそれがベストですよね。


リモートワークが推進される昨今、弊社自身がひとつのケースとなり、「Discord」という社内コミュニケーションツールを用いたフルリモートでの働き方と組織のつくり方を「視察会」という形で他社にオープンしているのは、そうした考えがあっての取り組みです。そんな新たな形態、「コンサルティング4.0」を試していきたいと思っています。