進藤 圭(しんとう けい)


早稲田大学在学中に2度の起業を経験した後、ディップに新卒入社。営業職、ディレクター職を経て、開始後3年で15億円の売上に成長した看護師人材紹介「ナースではたらこ」事業化など、20件以上のサービス企画に参加。現在は、アニメの舞台めぐり「聖地巡礼マップ」、人工知能ニュースの「AINOW」、スタートアップニュースの「StartupTimes」等の変わり種メディアチーム責任者。その他AI研究開発、事業提案制度、採用、MA等の担当から出張講師まで、特命係長的ライフを満喫中。


まずは今いる部署で、新しい取り組みを提案しよう

現在のお仕事内容について教えてください。


アルバイト・パート求人掲載サイト「バイトル」などを運営するディップ株式会社にて、新規事業創出やスタートアップ投資、アクセラレーションプログラムの運営を行っています。


2006年にディップに新卒入社して以来、営業職やディレクター職を経て、ほとんどの期間で新規事業を担当してきました。現在は、20人の社員と50人のインターン生からなるチームを管掌しながら、副業関連サービスやAI・RPA事業など、幅広いジャンルの新規事業に携わっています。

進藤さんは、学生起業を経てディップに入社されていますね。なぜディップを選んだのでしょうか?


若いうちから新規事業を任せてもらえる環境を求めていました。楽天やリクルート、サイバーエージェントなども候補でしたが、最終的にディップを選んだのは、当時のディップにはまだ「新規事業の大家」が社内にいないように思えたからです。


新規事業を成功させている会社には「新規事業といえばこの人」というような伝説的な社員がいるものです。新卒で入社したばかりの自分が、彼らと同じ土俵で戦い、新規事業担当を勝ち取るのは至難の業。一方、当時のディップには、新規事業の大家がまだいなかった。「あ、ここ空いてるな」と思ったんです。ここでなら、僕が大家になれるかもしれないと。

なるほど! 実際にどのようにしてディップで新規事業を任されるに至ったのですか?


入社してすぐは、営業からのスタートでした。それはそれで楽しんでいたのですが、やはり新しいことをやりたいという思いは強かった。


転機になったのは「営業提案資料を統一すべきだ」と執行役員に直訴したこと。当時は、各営業担当がバラバラの資料で営業をしていて、当然のことながら売れる人と売れない人がいました。そこに課題を感じ、売れる人の営業資料に統一すべきではないかと提案したんです。執行役員は僕の提案を受けて、それに取り組む部署を新設。僕は異動になりました。


これが僕にとって、新しい取り組みをディップで任された初めての機会になりました。そしてそれ以来、次々と機会をいただけるようになったんです。


どの会社でも、いきなり新規事業を任される人はいません。まずは今いる部署で、何か新しい取り組みを率先して提案し、実行することが重要です。それを続けているとボールが自分に回ってくるようになり、部署の次は事業部、その次は会社全体と、より大きなフィールドで新しい取り組みを任されるようになるわけです。


また、「新規事業をやりたい」と声に出し続けることも意識していました。意外とみんな、自分がやりたいことを口に出して言わないんです。相手が根負けするまで言い続けるだけで一歩抜きん出ることができます。

重要なのは、どれだけ会社に貢献できるか

新規事業は思うようにいかないこともあるかと思います。仮に失敗しても会社からの信頼を失わず、任され続ける秘訣を教えてください。


そうですね、新規事業は思い通りにいかないことだらけです。僕も何度も失敗してきましたが、前提としてディップの器が大きい(笑)。


ただ、結果的にうまくいかなかったときに、撤退作業を丁寧にやることは大切にしています。失敗しても、きちんと幕引きをすることで、会社にとってのマイナスを最小限にして、むしろ失敗からの学びを収穫するんです。差し引きプラスにするからこそ、「もう一回やらせてみるか」となるのではないでしょうか。


会社のリソースを使って新規事業をやるわけですから、取り組む過程でどれだけ会社に貢献できるかは欠かせない視点だと思うんです。新規事業をやっているからこそ採用できる人材、提携できる企業、オファーされる取材。これは言わば異端ならではのメリットです。自由に動けるようにしてもらっている分、それをどれだけ会社に還元できるかを常に考えて動くようにしています。

社内で新規事業を推し進めていると、再びご自身で起業したいと思うことはありませんか?


自分でやったほうが速いかもしれないと思うことはゼロではありませんが、それでもディップでやることを選んでいます。「新しいことをやりたい」というのが僕の一貫した軸なのであって、ディップは、豊富なリソースをフル活用しながらそれを実現できる環境です。起業するかサラリーマンとしてやるかはあまり重要ではなく、とにかく新しいことをやって人に喜んでもらいたいんです。


ディップで新規事業に取り組む上で根底にあるのは、働くことが辛くない世の中をつくりたいという思いです。人材領域とは一見関わりがなさそうなAI・RPA領域の事業を行っているのは、ブラック企業問題を解決したいからです。少しでも多くの人を辛い労働から解放したい。そんな思いを同じくするスタートアップと一緒に、大きな課題に取り組むべく、投資活動やアクセラレーションプログラムを行っています。


労働に関する課題は尽きないからこそ、僕の好奇心も持続して、ずっとこの領域で事業をつくり続けられているのかもしれません。シニア、女性、地方など、労働課題が多いテーマがまだまだたくさんあります。新たなテクノロジーで、こうした課題にどう役立てるだろうかと、日々あれこれ妄想しながら過ごしています。


最後に、今後取り組みたいことを教えてください。


新規事業をつくれる人を社内で増やすことを今後の自分のミッションにしたいと思っています。本音を言えば、現場で、自分の手で事業をつくりたいんです。でも、僕ひとりでやっているのも面白くない。インターン生を合わせれば70人を数えるチームの中から、新しい価値を提供できる人がたくさん生まれればいいなと思っています。