CREEDOなるにはトークとは?


「〇〇になるには?」をキーワードに、なりたいキャリアを実現した方のリアルな経験談を聞くことができる定期イベントです。働き方が多様になり、キャリアの選択肢も増えている今の時代。しかし、未経験職種や新しいワークスタイルへの転身をかなえる方法はまだまだ不透明です。「自分らしいキャリアを求めて挑戦する人を応援したい!」 そんな思いから、CREEDOなるにはトークは始まりました。あなたの気になる「〇〇になるには?」をYouTube Liveで毎週お届けします!


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#7のテーマは「転職だけじゃない!ソーシャルセクターで社会課題に取り組むには?」。

社会課題に取り組むNPOやNGOといったソーシャルセクター。
社会貢献事業に関わりたいと思いながらも、「仕事にするとなると大変そう」「給与が低いんじゃないの?」といったイメージを持つ方も多いのではないでしょうか?
しかし、転職以外にもソーシャルセクターで社会課題に取り組む方法はあります!

このイベントでは、さまざまな組織・働き方で社会課題に取り組むゲスト3名をお迎えし、社会課題への関わり方やソーシャルセクターのリアルをご紹介しました!


ゲスト プロフィール






  • 岩井 純一


    認定NPO法人フローレンスにて広報やプロジェクトマネージャーを担当。
    学生時代は国際協力を専攻し、主に東南アジアの子どもたちの支援に携わる。
    その後、日本の子どもに関する社会課題に関心を持ち、フローレンスに参画。
    現在は本職であるフローレンス以外にも、マギーズ東京でのファンドレイジングやNPOコミュニティ運営など幅広く活動している。







  • 上田 ゆうな


    有機野菜などの食品宅配事業を運営するオイシックス・ラ・大地株式会社で、食の社会課題を解決する活動の推進や発信を担当。
    これまでに、約400人の農業関係者が集うシンポジウム『N-1SUMMIT』や、4万人以上を動員する収穫祭イベント『東京ハーヴェスト』などをプロジェクトマネージャーとして企画・運営してきた。
    学生時代には、NPO法人アイセック・ジャパンでの活動や、貧困層を支援するフィリピンのNGOでのインターンなどを経験。







  • 横山 領


    大手メーカー系SIerにて小売業向け営業を担当するかたわら、プロボノとしてNGO Social Impactで活動。
    ″社会貢献を仕事に″をコンセプトにしたメディア『COCOCOLOR EARTH』、″社会を善くできる最高の環境へ″をコンセプトにしたコミュニティ『SOCIAL CLASS』の運営、″社会貢献×投資″をテーマにした勉強会などを行う。
    ※メディア『COCOCOLOR EARTH』のプロボノ募集中です!インタビュー・ライティング・Webデザイン・動画編集・メディア運営等のご経験ある方や、COCOCOLOR EARTHに関心を持っていただいた方などはお気軽にCREEDOプロフィールからご連絡お願いいたします!





モデレーター プロフィール






  • 藤井 蓮


    社会人でもOB訪問できるキャリアシェアサービス『CREEDO (クリード) 』を運営する株式会社ブルーブレイズ取締役。新卒で株式会社メンバーズに入社しECサイトの構築・運用やSNS運用のWebディレクターを経験。ブルーブレイズを共同創業し、現在はCREEDOのサービスデザイナー等を務める。








この4人で、パネルディスカッションしていきました!




Q1. 今の組織・携わり方を選んだ理由は?



岩井:僕は子ども支援を行なっているNPOにボランティア、プロボノとして携わった後、4年前に本職としてフローレンスで働き始めました。この組織で働くことを選んだのは、もともと僕自身が子どものときに苦労した経験があり、子どもの支援をしたいなと考えていたからです。また、代表の駒崎のメディアにおける発信を見ていて一緒に働きたいと思ったのも理由の1つです。駒崎は、社会課題のすべてを解決したいと思っている人間で。彼がよく口にする例えで、「子どもが川に流されていたら、下流で子どもを救い上げる人は絶対必要。でもそれだけじゃなくて、僕は上流で子どもを川に流す人たちをなくしたい」という言葉があります。この志にすごく共感して、この人と一緒に社会課題の解決に取り組みたいと思ったんですよね。そのままボランティアやプロボノとして関わっていく選択肢もありましたが、今の「正職員」という携わり方を選んだのは、NPOなどのソーシャルセクターを本業にできるということを自分の身をもって示したいと思ったからです。海外ではNPOで働くことは普通になりつつありますが、日本ではまだまだだと感じています。「フルコミットするという選択肢もある」ということを広く発信したいし、フルコミットできる環境・する人を増やしていければ良いなと思って、NPOの正職員として働いています。



横山:僕の場合は新卒で大企業に入社し、ソーシャルセクターにはプロボノとして関わるということを決めた上で就活を始めました。自分自身が子どもの貧困の当事者だったことから、もともと貧困や経済・教育問題などに関心を持っていましたが、周囲や自分自身がお金で困るのは避けたいと思っていて。「自分がどれだけお金が必要だと思うのか」というパーソナルファイナンスを考えて、収入面は本業で賄いながら自分の関心あることに取り組む「プロボノ」という形を選びました。プロボノという携わり方は時間の制約というデメリットはあるものの、金銭面の不安は少ないことは自分にとって良かったです。現在プロボノとして関わっているNGO Social Impactには大学4年生のときから所属していて、学生時代はイベントの運営や団体全体の運営を担当していました。現在は本業で法人営業をしているので、インタビュー前の契約周りや他団体とのコミュニケーション、マナーなどビジネス面でのサポートを行なっています。団体によるとは思いますが、Social Impactの場合は実働メンバーがほとんど学生のため、そのような団体においては会社で働きながら携わる人は重宝されるのではないかと思います。また、逆にSocial Impactに携わっているからこそ、会社でも契約などについて深く勉強するようになり、それが会社の仕事にも活きていますね。これはプロボノという形で携わっているからこそ得られる相乗効果だと思います。



上田:私がオイシックス・ラ・大地を選んだのは、もともと食や農業に関わりたいと考えていたからです。食に興味を持ったきっかけは大学生時代に経験したフィリピンの農村でのインターンでした。農家さんが人々の生活に必要不可欠な「食」を支えているにも関わらず、儲かっていないことや社会的地位が低いことが国内外問わずあるということに課題を感じたんですよね。就活では、食を支える方々の力になれればという想いで仕事を探していました。結果的には株式会社の正社員という携わり方になりましたが、企業の中で社会課題に取り組むという選択を知ることができたのは、「社会起業家」がちょうど私が学生のときに流行っていて、その活動を知る機会があったからです。ビジネスとして利益を出すことが持続的に社会課題を解決するために必要だという考え方が素敵だなと思い、ソーシャルベンチャーで働く携わり方を選びました。就活時は国連機関や行政機関で働くこと、自分が社会起業家になることも考えていました。ただ、大きな仕組みをつくるよりも、誰の役に立っているかが体感できる仕事のほうが自分に合っていると感じたので、行政機関よりも現場により近い形を選択しました。また、起業する前にまずビジネススキルを身に着ける必要があると思ってもいたので、まずは会社に所属することを選びました。NPOで働くという選択肢も本格的に考えていましたが、なかなか新卒採用をしているNPOは多くなく、結果的にオイシックス・ラ・大地に入社しました。



岩井:フローレンスは5年前から新卒採用を始めていますが、新卒でNPOという選択肢はまだまだ少ないですよね。




Q2. ソーシャルセクターに携わる前にやっておくべきことは?



横山:どういう問題に取り組みたいか、その問題に対してどういうアプローチをとりたいのか、なぜかそう考えるのかを深掘っておくことが大事だと思います。たとえば子どもの貧困という問題一つをとっても、子どもの居場所づくりに取り組むのか、進学率を高める取り組みを行うのかなど、アプローチ方法はたくさんあります。また、自分の費やせる資源は有限なので、関心分野が複数ある場合は優先順位を付けるのも大切だと思います。社会課題への携わり方には、時間を投じる直接的な方法と、お金などをと投じる間接的な方法の2通りがあります。僕の場合は、優先度の高いものにはプロボノといった形で自分の時間を費やして取り組み、優先度がそれほど高くないものにはその課題の解決に取り組んでいる企業・組織への投資をしたり、エシカル消費、寄付といった「お金を通じた社会貢献」という選択肢をとっています。



上田:横山さんと同じく、自分がどんな課題に興味があるのか、なぜ興味があるのかに向き合っておくことは大切ですね。自分が関心のある分野を見つけたら、その課題について調べてみるなど、身近なところからでも行動に移すことを積み重ねておくと、その先につながるのかなと思います。たとえば私の場合は、子どものときに、現在オイシックス・ラ・大地で取り扱っているらでぃっしゅぼーやの野菜を食べて育ったんです。それは偶然かもしれないですが、日々の暮らしのなかで取り組めることはたくさんあると思います。



岩井:NPOなどのソーシャルセクターはビジョンをとても大事にしているので、その組織が実現したい社会や大切にしていることにどれだけ共感できるかが組織選びの肝になると思います。また、課題に対して想いが強いとどうしても無理しすぎてしまう場合もあるので、自分のリソースや状況、状態を冷静に把握してすり合わせるとお互いうまくいくんじゃないでしょうか。



藤井:みなさんのお話を聞いていて、自分が課題意識を感じている事柄に対してどういう想いを持っていて、どういうアプローチをしたいのかを整理しておくべきという点が共通しているなと感じました。



横山:Social ImpactのメディアでNPO、社会起業家、公的機関など様々な分野の方々にインタビューする機会があるのですが、「どんなスキルが必要ですか?」と聞いたときに「まずは自分の課題意識、想いを明確化することが大事です」とおっしゃる方が多いんです。ソーシャルセクターだからこそ、「想い」は大事なエッセンスだと思いますね。




Q3. ソーシャルセクターに入って感じたイメージとのギャップは?



上田:株式会社の正社員として社会課題に関わることで感じた良いギャップは3つあります。1つは、もともと働くことを検討していたNPOや行政と一緒に働く機会が結局あったことです。NPOの活動に協力企業として携わったり、私達がやりたい社会性の高い事業を省庁の事業として行うために補助金をもらったり。1つの課題を1つの会社で解決するのは難しいので、いろいろな団体が関わっているんだなと入社して感じました。2つ目は、組織規模が大きい故の影響力です。現在オイシックス・ラ・大地の社員数は800人以上。様々なコネクションやスキルを持ったメンバーが所属しているので、お互いの得意分野を掛け合わせながら多様な領域にアプローチすることができていると感じます。たとえば実施しているプロジェクトの1つに、新型コロナウィルス対応で過酷な状況下にいる医療従事者の方々の食環境を改善するために、食品メーカーさんにご協力いただきながら食品を医療現場にお届けするというものがあります。これはオイシックス・ラ・大地の組織規模、食品メーカーさんとの日々のお付き合いがあったからこそ実現できた事業だと思います。一方、社会課題の解決だけを考えていればいいわけではない点は、株式会社である以上は付いてくる難しい点ですね。とはいえ、「利益の追求」と「社会課題の解決」は別に相反するものではなく、売上・利益にどうつなげるかを考えたほうが社会的インパクトが大きくなる側面もあります。



横山:良いギャップとしては、ソーシャルセクターで活躍している人は想いだけでなくビジネススキルも高いことです。ソーシャルセクターとビジネスセクターは対立するイメージもあると思いますが、ターゲットとなる人に対してどうアプローチしていくかを追求する点においては本質的に同じです。悪いギャップ...というほどでもないんですが、団体やセクターごとに個別最適で解決方法を考えている場面はあります。たとえば、フードバンクや子ども食堂ではスーパーなどから廃棄される食料品を受け取りますが、受け取る食品量が増えることをプラスに考えている側面があります。しかし、食品ロス問題の観点で考えると、そもそも廃棄対象となる量を減らすことが重要で、問題の根本的解決とは矛盾します。しかし一概にこれらの団体が対立するわけではありません。このケースでは、廃棄食品をそのまま処分してしまっている小売店や飲食店と連携し、廃棄からシェアリングへと変わるチャネルを増やしていくことが、社会全体にとって望ましい形だと思います。



岩井:良いギャップは、物事を進めるスピードが速い点ですね。必要性、正当性があれば、既存のプロセスにとらわれず実行に移します。たとえば直近でいうと、フローレンスで行なった記者会見が代表的です。記者会見は通常、長ければ数ヶ月かけて進めていくものですが、今回は企画から実際に記者会見を行うまでわずか10日程度で実施しました。それから、フローレンスにいる人たちは社会課題への取り組みはもちろんのこと、遊びやユーモアなどどんなことにも全力というところも良いギャップでした。フローレンスでは毎年代表の誕生日会をしているんですが、リアルポケモンGOと題してシナリオや着ぐるみを作ってお祝いしたり、ライブハウスを借りてイベントを行なったり。一方で改善していきたいと思っているところは、ソーシャルセクター間のつながりが意外と薄いという点です。徐々に変わってきてはいますが、NPO間での連携や共有があまり行われていなかったり、各団体の代表同士はつながっているけど、スタッフはつながっていなかったりすることがあります。そのためNPOコミュニティを立ち上げ、NPO同士がより連携して社会課題に取り組めるように支援しています。




Q4. ソーシャルセクターに向いている人の特徴は?



横山:1番は自分が感じている課題意識を深掘って明確化できる人かなと思います。あとは、細く長くでも継続的に活動できることは大事ですね。社会課題は一朝一夕で解決するものではないので、組織でも個人でも、粘り強くやっていくことが必要です。興味のある分野だからこそ力が入る反面、心身を病んでしまったり、経済的な理由で活動を辞めてしてしまうことは、非常にもったいないなと感じています。本業として関わるだけでなく、寄付や投資など、様々な関わり方があります。どんな関わり方が自分の今の状況に合っているのかを検討することが大切かなと思います。



岩井:僕は、オールマイティな思考や「どんなことでもやる」という姿勢を持っている人は向いていると思います。特にNPOは企業に比べてリソースや設備が十分ではないこともあるので、一人ひとりが様々な役割を担います。「これだけをやればいい」「自分はこれしかやらない」ではなく、必要であればどんなことでもするというマインドが大切です。あとは、社会課題に取り組むにあたって当たり前が通用しないこともあるので、前提を疑い、どうやって解決するかを深く柔軟に考える力が求められます。



上田:みなさん何度もおっしゃっていますが、やっぱり「想い」があるかどうかがキーになると思います。社会課題に取り組むに当たって、いろいろな組織が関わっていたり問題が複雑に絡み合っていたりする中でも進んでいく必要があるので、タフな状況下でも行動できる「想い」を持っていることは不可欠かなと。地道に取り組み続けるには、その組織の理念に共感できるか、所属している人や文化が自分と合うかがとても大事になってくるので、気になる団体があれば中の人に話を聞くのが1番だと思います。私の場合も、自分に合いそうと思っていた団体でも実際に中の人と話してみるとあまり合わなかった、ということがありました。また、「想い」とは相反するように聞こえるかもしれませんが、課題を冷静かつ構造的に見ることができる力も重要だと思います。



藤井:ソーシャルセクターの中の人との接点はどうやって作れば良いでしょうか?



上田:気になった団体があれば、直接メールしてみるのはアリだと思います!私は過去に別の団体でプロボノをしてたんですが、ここだと思った団体に直接メールしたことがプロボノをするきっかけになりました。今の時代SNSで簡単にDMも送れるので、思い切って連絡してみたら良いと思います。連絡をもらう側からすると、強い想いのこもったメッセージが届いたら嬉しいと感じるはずです。



岩井:僕もTwitterでアクティブに発信しているので、フローレンスやソーシャルセクターに興味を持ってくださった方からときどきDMをいただくことがあります。想いを持った人がアプローチしてくれるのはとてもありがたいですね。

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ゲストのお三方には、社会課題への関わり方やソーシャルセクターのリアルをご紹介いただきました。


今回のゲストには、CREEDOで直接お話を聞くことができます。さらに詳しい内容を聞いてみたい方はぜひこちらからプロフィールをご覧ください👇


◆岩井 純一さんのプロフィールを見る


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