小林 兼太(こばやし けんた)
1992年生まれ。2015年東京大学工学部卒。株式会社ドリームインキュベータの戦略コンサルティング部門にて主に大企業の新規事業に関するプロジェクトをリードする。2019年より同社最年少でマネージャー
一緒に働く人たちが一番の魅力
戦略コンサルタントとしてどのような業務に取り組んでいるのか教えてください。
大企業の新規事業に関するコンサルティングを主に担当しています。例えばいわゆる「モノ売り」をしている大手メーカーが、どうやって「コト売り」に転換するか、といったテーマや、AI・ビックデータを始めとした新たな技術的な潮流に大企業はどう立ち向かえばいいのか、等、毎日難題にトライしています。社会課題を起点にして考えるケースも多く、例えば保育や介護、人手不足、防災等、様々な社会課題を解決できるような新しい事業を日々クライアントと構想・実行しています。
コンサルタントは多くの人にとってあこがれの職種かと思いますが、仕事の醍醐味は何でしょうか?
自分ひとりではなく、チームで知見を持ち寄って議論した結果「何かが生まれる」感覚が一番の醍醐味ですね。誰かに聞いたり調べたりしても答えがないような難しい問いであっても「みんなで考えたらちゃんと答えが出るんだ」ということを入社1年目で実感することができてこの職業にハマりました。「この事業を成功させる上での肝は何だろう」「どうすればこの社会課題は解決できるんだろう」というような取っ掛かりのないお題でも、最初はわからなくても議論していくうちに解が見えてくる感覚。チームで導いた答えに対して「この発見はすごくクライアントにとって価値があるな」と思えるときは本当にテンションが上がります。
一緒に働く人がとても魅力的なんですね。
はい。本当に優秀で素晴らしい人たちに囲まれて働けていることを嬉しく思っています。自分ひとりでは行けないけれど、チームで考えることで到達できる境地に行けるというのが本当に楽しいんですよね。明らかに自分と異なる視点での面白い指摘によって自分が見えていなかったものが見えるという体験を毎日のようにしていて、とても刺激になります。誰と一緒に働くかは、私にとって非常に重要な要素です。
加えて、クライアントから感謝されることも大きな喜びです。コンサルタントになって3年目のときに、あるクライアントの方から、「あなたが次も担当してくれる前提なら是非発注したい」と言われたときは本当に嬉しかったです。今でも自分がリードしたプロジェクトが成功したときや、それが次の発注に繋がったときは非常にやりがいを感じます。
そもそもコンサルタントになろうと思ったのはなぜですか?
もともと誰かのために計画を立てたり戦略を考えたりするのが好きだったんです。さかのぼると中学時代の生徒会活動が最初のきっかけなのかもしれません。大学時代は学生団体に所属し、4年生のときには団体全体の成長戦略の立案をリードしていました。成長戦略というと少し大げさかもしれませんが(笑)。そこでも一緒に活動する人たちが自分にとって刺激になっていましたし、後輩が自分の考えた施策によって楽しそうにいきいきと活動してくれることが喜びでした。
就活で候補に挙がったのはコンサル以外に金融系や事業会社でしたが、決めてはやはり人ですね。自分が会わせていただいた中で、いまの会社にいる人たちが一番魅力的に感じました。
クライアントの期待に120%で応えたい
クライアントや社会に対して、どのような価値を届けたいと思っていますか?
今はまだ生み出せていない非連続的な価値を届けたいです。新規事業に重きを置いているのはそのためです。
日本企業にしても、日本全体にしても、どうしても過去と同じことをやり続けてしまったり、変化を嫌ってしまったりする傾向があるように思います。保守的になってしまう背景もきちんと理解した上で、新たな一歩を提示できるような人になりたいと思っています。
また、日々のコンサルティングプロジェクトにおいては、クライアントが満足してくれるレベルから更にもうひとひねりしたアウトプットを出すことを妥協せずにやりきることを意識しています。難題をきちんと理解したり、散らかっている論点を整理して答えを出したりすることは得意なので、クライアントをひとまず満足させることは比較的すぐできてしまいます。そこで満足せずに「クライアントから直接依頼されたことではないけれど、本来はここまで考えるべきなんだよな」というテーマに自発的に取り組んむイメージです。
あとは、世の中のイケてない意思決定を自分の手で何とかしたいという思いも強いです。国や企業の意思決定をニュースを通じて見ていると、「この意思決定、議論が足りていなかったんだろうな」とか「あまり考えずに決めちゃったんだろうな」とか感じるような不完全なものが目につくことが最近多くなりました。本当にやるべきことは何なのかを示していけたらなと思っています。
お話を伺っていると、コンサルタントが天職のように感じますが、一方で現在のお仕事に対して何か葛藤はあるのでしょうか?
ありますよ。コンサルタントというのはどうしても、幅広い問題に対してちょこちょこジャブを打つような職種なんですよね。実行に移すのはあくまでもクライアント企業なので、より大きな価値を社会に届けたいと思ったときに限界を感じることはあります。
だから、いずれは1つの組織にしっかりコミットして、価値あることを自分の手で成し遂げたいという思いはあります。「この会社をめちゃくちゃエクセレントにしたい」と思えるような会社をそろそろ決めるときかなと感じているところです。社会にとって欠かせない、新たな社会をリードするような組織を生み出していけたらなと思います。