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ジョブ型雇用が流行ってるけど、これからはアジャイル型だよねという話

  • 人事

植田 拓也

日本たばこ産業株式会社 HR Manager

僕は以前、ヘイコンサルティンググループという会社で働いていました。あまり広くは知られていないですが、実はいま日本で盛り上がっている「ジョブ型雇用」の仕組みを生み出した米国のコンサルティング会社です。僕も当時はコンサルタントとして、日系企業のジョブ型への転換を沢山お手伝いしてきました。
そして現在は別の事業会社で人事として、まさにジョブ型からアジャイル型に変わろうとする組織の真っただ中にいるので、少しその経験を書こうかなと思います。

そもそもジョブ型雇用ってなに?

ジョブ型雇用に詳しくない方向けに少しだけ説明をしておきたいと思いますので、既にご存じの方はここは読み飛ばしてください。
ジョブ型というのは職務(ジョブ)を特定し、それを遂行できる人材をその職務に配置する方法のことを言います。会社は事業運営していく上で必要な職務を事前に決めておき、それを職務記述書といわれるものに記述しておきます。その職務記述書に沿って、職務を遂行できる人材を社内外から募集して配置します。
重要なポイントは、新卒採用においてもジョブ型が採用されるという点で、会社が定めた職務を遂行できる人材のみ採用されます。なので、ジョブ型雇用が一般的な欧米では就業経験の無い若年層の就業難が顕在化しており、大学を卒業した学生はまずは無給の長期インターンシップでスキルや経験を蓄積することで専門性を磨き、正社員の職務を狙いにいくこととなります。大変ですねぇ、、、

実は日本でもジョブ型雇用が普及している!?

一方日系企業は「メンバーシップ型雇用」というのが取られており、おなじみの新卒一括採用、終身雇用、年功序列というワンセットで構成されていました。高度経済成長期以降、日系企業はいわゆるフォロワー戦略をとっており、新しい製品を生み出すことよりも、既存カテゴリの製品を改良することで高品質低価格な製品を作ることで市場を席巻してきました。そのために、一定水準以上の業務をこなせるジェネラリストが大量に必要となり、そこで生まれたのがメンバーシップ型雇用でした。
しかし、経済大国となり自ら新たな製品やサービスを生み出す立場になると、これまでのメンバーシップ型雇用の弊害が顕著になってきました。一定程度の結果を出せるジェネラリストはいるものの、新たな製品やカテゴリを作り出せるような専門性のある人材が圧倒的に不足していたのです。
そこに気づいた先進的な日系企業は2000年代に徐々にジョブ型雇用を取り入れるようになります。皆さんも「成果主義」という言葉を聞かれたことはあるかもしれません。これは実はジョブ型雇用に由来する場合が多いです。
実はジョブ型雇用というのは今に始まったことではないんですね。

なぜいま日本でジョブ型雇用が叫ばれているのか

しかし、多くの日系企業はジョブ型雇用の導入に失敗しました。
ジョブ型雇用の大前提は、職務という箱に人材を入れていく仕組みです。箱が変われば、中にいる従業員を変えるか或いはいま入っている従業員自身が新しい箱に合う人材であるということを示さなければいけなくなります。しかし日本の労働者は法律で守られており、一定の基準を満たさなければ解雇できません。(大企業が発表するリストラの多くも退職勧奨と言ってお勧めしているだけで、退職を強要することができません)
そこでどうしたかというと、これまで貢献してきてくれた終身雇用を前提に雇用した社員に対して、不要な職務を新たに作ることで雇用を維持してきたのです。これはジョブ型雇用の大前提を覆す導入の仕方でした。
なぜこういった対応になったのかというと、結局そこまで差し迫った課題ではなかったからなのだと思います。バブル崩壊後でも、一定程度の事業規模を確保しながら事業を維持することができたため、真に身を削った決断をするに至らなかったということだと思います。

しかし、そうは問屋が卸しませんでした。インターネットやモバイルネットワークの普及で、製品やサービスのグローバル化やソフト化が進むにつれて、様々な業界で破壊的イノベーションが起こり続け、主幹事業ですら維持することが困難になってきました。そうなると終身雇用なんて本当に言ってられなくなります。そこでジョブ型雇用が見直されることとなりました。
ジョブ型雇用では人材が会社が定める箱に入り続けられるように専門性を磨きます。そして、もしその箱に自分が合わなくなったときには、他の会社にある箱で自分に合う箱を探します。つまり専門性を活かして転職していくということになります。こうやって、ジョブ型雇用では一企業ではなく、社会を通じて雇用を担保していくということになります。終身雇用を維持できなくなった日系企業がジョブ型雇用を声高に訴えるのはこういった背景があります。

アジャイル型という働き方

さて、大分前段が長くなってしまいましたが、今回書きたいことはここからです。
これまで見てきて頂いた通り、ジョブ型雇用には成果に直結する組織設計と人材配置を実現することができるという大きなメリットがあります。ただ、そこには大きな弊害が出てきました。
人材が専門性を重視するあまりに、キャリアや任せられる職務に柔軟性が欠けてしまい、事業構造の転換には大きな痛みを伴い、スピード感のある組織運営に支障をきたすようになってきました。どういうことかというと、専門性ある従業員に合う職務が会社から無くなったら、すぐその従業員に会社を去ってもらわなければならなくなった、そしてビジネスのスピードが速くなってあれこれ新しい職務を任せたいけどその人材を集めるのに時間がかかるという事態になってきました。
代謝(解雇)というのは組織文化に大きな傷を負わせてしまいます。去る人が辛いのはもちろんですが、残る人も次は自分かと恐れ、残された大量の業務に疲弊していきます。また、採用や育成にも多くの時間とコストがかかります。

そこで、なんとか人材を有効活用できないかと今注目されているのが「アジャイル型」という雇用体系です。
アジャイルとは「機敏な」「頭の回転が速い」といった意味で、2000年代にソフトウェア開発の新たな手法としてその言葉が表舞台に登場しました。従来のソフトウェア開発では、先にソフトウェア全体の機能設計や計画を決定し、その計画に従って開発実装していくというものでした。ところが、事業環境の変化や技術の進歩が速くなるにつれて、しっかり計画を立てて進めていく進め方では環境の変化に対応しきれず、予算や納期が大幅に超えてしまうという事態が頻発しておりました。そこで、アジャイル開発という「開発中に発生する様々な状況の変化に対応しながら開発を進めていく手法」が生まれました。
アジャイル型組織では、従業員は従来の階層組織ではなく一定の専門領域内における人材プールに入り、そこで様々なバックグラウンドを持ったメンバーと共に、業務課題毎に組成された小さなプロジェクトチームにて業務を遂行していきます。プロジェクトが終わるとチームは解散され、また新たなプロジェクトに割り振られます。業務課題は各部門のリーダーシップチームによって戦略的に且つ臨機応変に優先順位付けされ、プロジェクト化されていきます。そうすることによって、従業員の一定程度の専門性を担保しつつも、事業環境の急激な変化にも、会社も従業員も耐えられる仕組みを構築しています。

まとめ

今回はジョブ型、メンバーシップ型、アジャイル型という雇用体系について触れてみました。日系企業にとっていきなりアジャイル型に移行するのはハードルが高い企業もあるかもしれませんが、実はメンバーシップ型からの移行はアジャイル型の方がジョブ型よりもスムーズなのではとも思います。事業スピードがどんどん速くなる昨今、アジャイル型も検討してみてもいいのではないかというお話でした。

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植田 拓也

日本たばこ産業株式会社 HR Manager

「仕事を通じて人が成長する社会/仕組みを構築すること」がキャリアビジョン 大学院時代に人材系ビジネスの起業を経験。日本マクドナルド株式会社に入社。マーケティング部でブランドマーケティングと...

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